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No.63 バンドの三態変化

 水が、氷、水、水蒸気と三態変化するようにバンドも宿命的に変化する。ここではジャズのビッグバンドに焦点を当てて話してみよう。
 まず第1段階。たまたま何人かが集まって意気投合しビッグバンドを立ちあげることとなる。それぞれ仲間を募ってなんとなく形ができて練習場所も決まり、ことは順調に運んでいく。しばらく練習していくと、どこか発表の場が欲しくなる。よくしたもので、団員の誰かが適当なホールなりライブハウスを見つけてくる。あとは、誰が幹事ということもなく、車の手配、チラシ、チケット、準備滞りなく進み、劇的な盛りあがりを見せた記念すべき第1回演奏会は大いに盛りあがって大成功。打ちあげではそれ以上に盛りあがる。ここまで第1段階。
 さて、ここまでくると定期的に演奏会をしたくなる。また勢い余って、バンドの実力を試してみようと、どこかのコンクールに出ようと画策し始める。ここで問題が発生する。メンバーといっても全員揃っているわけではなく、何人かは「トラ」あるいはあちこちのバンドを掛け持ちしていて、全員が揃う練習はなかなかできない。そこで、なんとかメンバーの固定化を図る。ここで上手くいけば、いよいよ勝負に打って出る段だ。内在する問題は、メンバーの腕前にだいぶ個人差が見えてくることだ。要するに、きちんと曲を仕上げようとすると、実力のある人とそうでないのとの差がはっきりしてくることだ。ここまでが第2段階。いよいよ第3段階に入る。
 コンクールや少し大きめの演奏会終了後、「あの」メンバーを交代させられないかと内緒話が始まる。「実はもっとうまい人がいるから声をかけてみる」これが致命的なこととなる。ビッグバンドはパートの重複がないため、「あの」人を排除しなければならない。会社でいうとその権利のない人が人事権を発動するようなもので、やがて内部抗争が芽生える。
 これが顕著になるのが、次の打ちあげである。飲んだ勢いでそれが出る。けんかになる。なんとか、そこは団長の采配で収まるが、問題は次回練習以降である。人は集まるが、かつての勢いがない。「あの」人は円満退社したが、今のメンバーを引き連れて他で新バンドを立ち上げた……などということはよくある話で、バンドは崩壊の道を転げ落ちていくのだ。
 不幸なバンドの「三態変化」を食い止めるには方法がある。要するに、決して上手くならないように常に心がけることだ。いや、上手くならないように上手くなることだ。
 次回機会があればその方法をお話しします。

東京・社会人Jazz Orchestra“ファイアーバード”
長谷川 貞雄

団員数:男子13名 女子5名   ※団員数は掲載当時のものです。
部 訓:無理して上手にならなくてもよい

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